電子書籍を販売するストアが増え、それを読むための端末も増えました。
しかし、すべての電子書籍があらゆるリーダーで読めるとは限りません。
電子書籍には複数のファイル形式(フォーマット・拡張子)が存在します。
ファイルの規格が違えば、電子書籍リーダーで読み込むことができず、その本を読書できません。
電子書籍のファイル形式は20種類以上もあります。
ここでは代表的なものを中心に紹介します。
いまはファイルの形式が乱立していますが、アップデートによって、特定のファイル形式が他の形式をサポートすることも多くなっているので、いずれ、ファイルフォーマットは統一化されていくと思われます。
ePUBは「Electronic Publication」の略称です。
アメリカの電子書籍標準化団体「IDPF」が推進しているオープン規格で、すでにアメリカではスタンダードなファイル形式として知られています。
文字の大きさや配列を、端末や画面の大きさに合わせて自動的に調整できる、いわゆるリフロー型(流動型)のファイルフォーマットです。
ご存知の方も多いPDFファイルも、電子書籍のフォーマットに使われます。
PDFはアドビシステムズが開発したファイル形式で、一般にはAdobe Readerなどを使って閲覧します。
元となる原稿のイメージを忠実に再現することを目的としているため、端末や画面のサイズに合わせてテキストが自動的に調整されることがない、いわゆるフィックス型(固定型)のフォーマットになります。
タブレット型PCはもちろん、電子書籍リーダーの多くはPDFファイル形式をサポートしています。
ボイジャー社が開発したファイル形式で、国内での普及率は結構高いです。
電子書籍ストアのBookLive!のコンテンツの多くが.book形式で配信されています。
日本語の文字組みに優れており、端末や画面の大きさに応じて文字の大きさが自動的に変えることができるリフロー型です。
電子コミックなどでもよく使われている形式です。
GALAPAGOSストアの運営で知られる、シャープが開発した形式です。
拡張子は「.zbf」となります。
国内では普及率の高いファイル形式で、縦書や字下げなど、日本独自の原稿を再現するのに向いていると言われています。
XMDFでの電子書籍出版をする場合、シャープに利用料を払わなければなりません。
しかし、GALAPAGOSストアではすでに、.book形式やePUBのコンテンツを販売していたり、iPhone、Androidアプリで.book形式など、他のファイルフォーマットをサポートしているので、あまり気にする必要はありません。
Kindleを製造販売しているAmazonの独自規格です。
なお、Kindle PaperwhiteではPDFも閲覧できますし、Androidベースで作られたKindle FireなどのタブレットPCは、無料アプリをインストールすることで、AZW形式以外の電子書籍も閲覧できます。
アドビシステムズのファイル形式です。
デジタル著作権管理(DRM)によって保護されているファイルフォーマットであり、電子書籍の不正コピーや悪用ができないようになっています。
Google Playではこのファイル形式がよく使われています。
これだけのファイル形式があると、「どのストアでどの形式のファイルを買えばいいのか」迷ってしまいます。
しかし、実際に電子書籍を読む場合は、ファイルの種類はさほど気にしなくても構いません。
タブレット型PCを使っている場合は、電子書籍ストアが提供している無料の「アプリ」を使って電子書籍を購読することになります。
万が一、ストアがファイル形式を変更しても、アプリのアップデートで対応してくれるはずです。
また、アプリがインストールできない「電子ペーパー」を使った読書専用端末は、原則的には電子書籍を購入できるストアが限定されているので、その電子書店で本を買い、その端末を使って本を読むようにすれば問題はありません。